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「ぐるっとパス」で「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」へ

ぐるっとパス」を買いました。

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実は「ぐるっとパス」を買ったのは初めてです。
今までは、「友の会」に入っている館もあるし、
有効期間が2ヶ月じゃ、買っても使いきれないんじゃないか、
と思っていたんですが、
この夏、行きたい展覧会をピックアップしてみると、
「ぐるっとパス」を買った方がずっとお得! だったので。

買ったのは「メトロ&ぐるっとパス」。
東京メトロ一日乗車券2枚付きで2,800円。

「ぐるっとパス」単独だと2,000円で、
東京メトロ一日乗車券は1枚710円だから、
「メトロ&ぐるっとパス」は、かなりお得です。

これ買うと、特に行く予定にしていなかったミュージアムにも
足をのばしてみたくなりますね。

で、所用のついでに、
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」へ。

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今、行われているのは、
「ひびきあう詩 浜口陽三・南桂子 二人展」です。

今回の展覧会は、南桂子に重点が置かれていて、
初公開になる油彩画のほか、スケッチや、
制作の際、参考にしていた資料なども見られます。

壷井栄に童話を学んだという南桂子の作品は、
それぞれが物語の一場面のようで、
いろいろな空想をかきたてます。

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《赤い魚》南桂子 1965年(ポストカード 150円)

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会場のモニタでは、
生前の浜口陽三を取材した番組が放映されていました。
「美の世界 〜黒と光のマチエール」
(日本テレビ 1990年9月29日放映 45分)

これがなかなか面白くて、ずっと見入ってしまいました。

浜口陽三は1990年だと、81才ぐらい。

この人はずっとパリにいたのかと思っていましたが、
1981年からサンフランシスコに移住していたんですね。

サンフランシスコのほうが、
ヨーロッパより開放的で好きだと語っている姿は、
彼の内省的なメゾチントの作品からは、ちょっと意外でした。

番組では、浜口陽三がベルソーという道具で
版の下地を作っているところが映ります。
(ここでは、くわしい説明ははぶきますが)
普通の人は、タテ、ヨコ、ナナメにベルソーを動かして、
細かく銅版に点を刻み込み、
メゾチント特有のビロードのような下地を作ろうとするのですが、
浜口陽三の場合は、タテ、ヨコしかやりません。
そのことを聞かれて、

 「めんどくさいから…」

というふうに(笑)言っていましたが、
あまり細かくやりすぎると、逆に刻み目がつぶれてしまうから、
ということでもあったようです。

昔は風景画や人物画を描いていたけれども、
次第に、身近にある、さくらんぼとか毛糸玉とかを
モチーフにするようになったことについても、 

 風景画は外に行かなきゃいけないし、
 人物画はプロのモデルを描いてもつまらないし、
 面倒だから…。

というようなことを言っています。

「めんどくさい」が、
彼独自の世界を創るキーワードになっていたのか?(笑)

どこまでホンネだかわかりませんが、
飄々としたオジイチャンなところがステキです。

刷師が浜口の作品を刷っている所も、
この番組の見所です。

チョークの粉をつけた手の腹や指先を使って、
絵を掘り出すように、インクを拭き取っていきます。
すべては、手加減ひとつで絵の仕上がりが決まってしまいます。 

 「ぼくのメゾチントを刷れる人がいない。 
 (1枚は刷れても)50枚、同じように刷れる人はね…。」

と、浜口は語っていますが、
そりゃーそうだろうなぁ、と思います。
私も少しだけやったことがありますが、
メゾチントは刷るのがむずかしいです。

たしか、長谷川潔も信頼していた刷師が亡くなって
作品が刷れなくなってしまったんじゃなかったっけ。

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《22のさくらんぼ》浜口陽三 1988年(ポストカード 150円)

会場では、この作品と共に、
さくらんぼが赤い、色違いのバージョンも見られます。

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《黒いさくらんぼ》浜口陽三 1960年(ポストカード 150円)

会場に、この作品の原版も展示されていました。
浜口陽三が使った道具も見ることが出来ます。

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《西瓜》1981年
《ロビーナのさくらんぼ》1981年と《緑のさくらんぼ》1981-89年
シール(各200円)

ショップで迷って、結局、両方買ってしまいました。
小さなシールが集まって並んでいると、
それがまた、ひとつの作品のようにも見えてきます。

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